日本とアメリカを行き来していると、毎回げんなりするのが、帰りの入国審査の長い列。長時間のフライトでへとへとなのに、さらに何十分も並ぶのは正直つらいものです。加えて、当時は保安検査のたびに靴を脱ぐ必要もあり、「この二つがもう少し楽にならないかな」とずっと思っていました。

そんなとき知ったのが、事前審査を受けた人が入国手続きを短縮できる Global Entry(グローバルエントリー)。しかも、以前は永住権保持者などに限られていたのが、日本国籍でも申請できるようになったと聞き、思い切って取ってみることにしました。申請から面接、実際に使ってみた感想まで、順を追って書きます。

なぜ取ろうと思ったか

Global Entryは、アメリカ税関国境警備局(CBP)が運営する「信頼できる渡航者」向けのプログラムです。事前登録しておくと、入国時に通常のパスポート審査の列に並ばず、キオスク(電子端末)で手続きを済ませられます。

REAL IDを取ったとき もそうでしたが、身分証まわりの手続きは一度やっておくと後が楽になります。私が惹かれた一番の理由は、やはりあの入国審査の列を回避できること。そしてもう一つ、Global Entryには国内線の保安検査を高速化する TSA PreCheck の資格も含まれていて、出発時の検査も楽になると知ったことです。申請した当時は保安検査で靴を脱ぐのが当たり前で、それも地味なストレスだったので、「往復どちらも楽になるなら」と背中を押されました。

(ちなみに、TSAは2025年7月に靴脱ぎのルールを全員分廃止したので、今は誰でも靴を履いたまま通れます。ただしPreCheckなら、ベルトや上着、PCや液体もそのままでよく、専用レーンで列も短いので、快適さは今も健在です。)

日本国籍でも申請できると知って

かつてGlobal Entryは、日本国籍者にはほぼ縁のないプログラムでした。それが2024年12月から、在留資格を問わず日本国籍者全員が申請できるように。私はビザで滞在していて永住権はありませんが、これなら対象です。有効なパスポートがあり、犯罪歴がなければ申請できると知り、さっそく手続きを始めました。

申請とパスポート情報の入力

申請は、CBPの Trusted Traveler Programs(TTP) というサイトから、すべてオンラインで行いました。アカウントを作り、パスポート情報や過去5年分の住所・渡航歴・勤務先などを入力していきます。項目は多めですが、用意する書類は求められた必要なものだけで、特別なものは要りませんでした。

入力を終えたら、$120の申請料を支払って提出。提出が完了すると「PASSID」という会員番号が発行されます。これは後の手続きでも使うので、控えておきました。

戸籍謄本を日本へ送った

ここが日本国籍者ならではのステップでした。TTPで申請したあと、日本側の審査のために、戸籍謄本を日本の出入国在留管理庁(東京出入国在留管理局)へ郵送する必要があります。私も実際に送りました。

送ったのは、3か月以内に発行された戸籍謄本の原本。PASSIDを受け取ってから30日以内に、簡易書留で郵送します。このとき、戸籍謄本の右上の余白に鉛筆でPASSIDを書き添えておくのがポイントでした。あわせて、入管から連絡が来ることがあるので、日本の平日日中につながる電話番号を登録し、メールで「@i.moj.go.jp」からの受信ができるように設定もしておきました。日米両方の審査があるぶん一手間ですが、案内どおりに進めれば迷うことはありませんでした。

承認までにかかった日数

書類を送ったら、あとはひたすら待ちます。私の場合、2月中旬に申請してから、約7週間後(申請から約50日)にTTPのダッシュボードが「条件付き承認(conditionally approved)」 に変わりました。

ここで一つ注意しておきたいのが、条件付き承認の段階ではまだ使えないということ。実際に優先レーンやキオスクが使えるようになったのは、後述の面接を経て本承認が下りてからでした。「条件付き承認=もう使える」ではないので、そこは期待しすぎないほうがよさそうです。

入国審査と一体だった面接(EoA)

条件付き承認のあとは、面接が必要です。専用のEnrollment Centerを予約する方法もありますが、私はアメリカに入国するタイミングでその場で受けられる「Enrollment on Arrival(EoA)」 を使いました。予約不要で、入国のついでに済ませられるのが便利です。

実際に到着すると、まず係員から「Global Entryと同じ列へ」と案内されました。その列に進むと、面接は通常の入国審査と一体で行われ、正直、どこからが入国審査で、どこからがGlobal Entryの面接なのか、自分では区別がつかなかったほどです。その場で指紋を採られ、質問は、いつもの入国審査で聞かれるような内容に加えて、ビザに関する質問も受けました。特に身構えるようなものではなく、数分で終わった印象です。

こうして、条件付き承認の約1週間後、入国時の面接でそのまま本承認。申請からここまで約2か月弱(約56日) でした。

なお、ピッツバーグに住んでいる方なら、ピッツバーグ国際空港(PIT)にもGlobal Entryの面接会場(Enrollment Center) があり、予約すればそこで面接を受けられます。人気で予約が取りにくいこともあるので、EoAと合わせて選択肢に入れておくとよいと思います。

使ってみたら本当に快適だった

本承認が下りてから、さっそくTSA PreCheckとGlobal Entryの両方を使う機会がありました。結論から言うと、どちらも列が短く、想像以上に快適でした。

出発時は、航空券の予約に会員番号(PASSID=Known Traveler Number)を登録しておいたので、搭乗券にちゃんと「PreCheck」の表示が出ました。優先レーンは通常より列が短く、ベルトや上着を着たまま、PCや液体もバッグに入れたまま進めるのでスムーズです。特に朝のピッツバーグ空港(PIT)は混み合っていて、通常の保安検査だと20分近く並ぶこともあるのですが、TSA PreCheckのレーンなら3分ほどで通過できたことも。この差は本当に大きいと感じました。

そして帰りのアメリカ入国。Global Entryのレーンでは、まずキオスクで顔認証をします。必要な場合はそのあと審査官のチェックが入りますが、それでも通常の列に並ぶのに比べたら圧倒的に速い。あの長い列を横目にすっと抜けられるのは、長旅の締めくくりとして本当にありがたかったです。ちなみに日本国籍者には物理的なGlobal Entryカードは発行されませんが、カードがなくてもTSA PreCheckは会員番号の登録で使えるので、不便は感じませんでした。

航空アライアンスとマイル — ピッツバーグ(PIT)発で選ぶ3社アライアンスとマイルの仕組み航空アライアンスとマイル — ピッツバーグ(PIT)発で選ぶ3社PIT発の国内線に乗る機会が増えて、最初は値段と時間だけで航空会社を決めていました。スターアライアンス・ワンワールド・スカイチームの3つと、マイルやステータスの仕組みを知ってから、同じ路線でも選ぶ理由が変わりました。

費用と、取ってみて思ったこと

料金は5年間で$120(不承認でも返金なし)。5年で割れば年$24ほどで、日本とアメリカを何度も往復する私にとっては、時間と体力の節約を思えば十分に元が取れた感覚です。更新も5年ごとに$120で、多くはオンラインで手続きできるようです。

なお、私が使っていたカードには付いていませんでしたが、調べてみると、旅行系のクレジットカードにはこの$120を明細クレジットで還元する特典が付いていることがあるようです。これから申請する方は、手持ちのカードの特典を一度確認してみるとよいかもしれません。

使い続けるうえで気をつけたいのは、入国にはGlobal Entryとは別に有効なパスポートとビザ(またはESTA)が必要なこと、そしてパスポートやビザの情報はTTPのダッシュボードで常に最新にしておく必要があること。情報が古いと、うまく通過できないことがあるそうです。

まとめ

日本国籍・永住権なしの立場でも、Global Entryを取ることができました。TTPでの申請と戸籍謄本の郵送という日本人ならではのステップはありましたが、案内どおり進めれば難しくはなく、私の場合は申請から約2か月弱で取得。入国時の面接(EoA)は通常の入国審査と一体で、思ったより気軽でした。

実際に使ってみて、出発の保安検査も、帰りの入国審査も、列に並ぶ時間がぐっと減って移動が本当に快適に。日本とアメリカを行き来する機会が多い方には、$120(5年)を払う価値は十分にあると感じています。制度や料金は変わることがあるので、申請前にはCBPの公式サイトで最新情報を確認してみてください。

この記事で使える英語

入国時の面接(Enrollment on Arrival)や入国審査で使える表現をまとめました。

What was the purpose of your trip?(渡航の目的は何でしたか?)

入国審査でよく聞かれる質問です。帰省なら visiting family などと答えればOK。

  • It was to visit my family in Japan.(日本の家族に会うためでした。)

I’m here on a dependent visa.(帯同(家族)ビザで滞在しています)

面接ではビザについて聞かれることもあります。駐在に帯同している場合は、自分の立場を一言で言えるようにしておくと安心です。

  • My husband is here on a work assignment, and I’m his dependent.(夫の駐在に帯同しています。)

Which lane should I use?(どの列に並べばいいですか?)

入国時、どこへ行けばよいか分からないときに。Global Entryのレーンへ案内されることがあります。

  • Excuse me, which lane should I use for Global Entry?(すみません、Global Entryはどの列ですか?)

参考

制度・料金は2026年8月時点で確認しています。変更に気づかれた場合は お問い合わせよりお知らせください。