アメリカに来てから、一度は本場のブロードウェイ作品を観てみたいと思っていました。
とはいえ、ニューヨークまで行くとなると時間もお金もかかります。そんな中、ピッツバーグでもブロードウェイの全米ツアー公演が行われていることを知り、先日『The Great Gatsby(グレート・ギャツビー)』を観に行ってきました。
今回は、会場の雰囲気や観客の様子、日本との違い、そして公演中に起きた思わぬハプニングについてご紹介します。
会場はBenedum Center

今回訪れたのは、ダウンタウンにあるBenedum Centerです。劇場の外観は歴史を感じる重厚な雰囲気で、中に入ると豪華なシャンデリアや装飾が目に飛び込んできます。

客席数は約2,800席。日本のミュージカル劇場と比べてもかなり大きく、入場した瞬間から特別感があります。開演前にはロビーでドリンクや軽食を購入している人も多く、劇場全体がお祭りのような空気に包まれていました。
また、外部からの飲み物の持ち込みは禁止されていました。その代わり、劇場内ではアルコールを含むドリンクや軽食が販売されており、それらを購入して客席へ持ち込むことができます。実際に、休憩時間にワインやカクテルを購入し、そのまま客席へ戻る人も多く見かけました。ロビーで販売されている飲み物や軽食を楽しみながら観劇するスタイルは、日本ではあまり見かけない光景だったので印象に残りました。

『The Great Gatsby』とは?
『グレート・ギャツビー』は、F・スコット・フィッツジェラルドによる同名小説を原作とした作品です。1920年代のニューヨークを舞台に、謎めいた大富豪ジェイ・ギャツビーと、かつて愛した女性デイジーとの再会を軸に物語が進みます。華やかなパーティーの裏にある孤独や執着、そしてアメリカンドリームの光と影が描かれる名作です。

映画版を観たことがある方も多いかもしれません。ミュージカル版では、ジャズエイジの華やかな世界観が舞台いっぱいに広がり、豪華なセットや衣装も大きな見どころでした。
想像以上に豪華だった舞台演出
実際に観て驚いたのは、舞台セットの豪華さです。ツアー公演ということで、勝手に「多少は簡略化されているのかな」と思っていました。ところが実際には、巨大なセットが次々と転換され、照明や映像演出も非常に華やかでした。
特にギャツビーの豪邸で開かれるパーティーシーンは圧巻です。舞台上には次々と人が現れ、ダンスが繰り広げられ、まるで映画の中に入り込んだような感覚になりました。衣装も非常に豪華で、1920年代の華やかな雰囲気が存分に表現されていました。
意外だったマイクの存在
今回の公演では、途中でその存在を強く意識する出来事がありました。2幕の途中、突然マイクのトラブルが発生したのです。一人の役者さんのマイクが入っておらず、袖から「トラブルが発生したため、演者は一度袖に下がってください」というアナウンスが入りました。
客席も少しざわつきましたが、大きな混乱はありませんでした。数分後には公演が再開され、観客からは温かい拍手が送られていました。

実は以前、ニューヨークでブロードウェイ作品を観たことがあります。その時は出演者の歌声や台詞があまりにも自然に聞こえていたため、マイクの存在を意識した記憶がほとんどありませんでした。しかし今回の公演では、マイクトラブルによって演者が一時的に舞台を離れる場面を目の当たりにし、大規模なミュージカルが音響技術によって支えられていることを改めて実感しました。
ブロードウェイのミュージカルでは一般的に出演者が小型のワイヤレスマイクを装着していますが、普段はその存在を忘れてしまうほど自然に運用されています。だからこそ、今回のトラブルは強く印象に残りました。もちろん出演者の歌唱力そのものは圧倒的ですが、大規模な劇場では音響もまた作品を成立させる重要な要素なのだと感じました。
アメリカの観客はよく反応する
観劇していて感じたのは、観客の反応の良さです。日本では拍手のタイミングが比較的控えめなこともありますが、アメリカでは印象的な歌唱や演出があるたびに客席から自然と拍手が起こります。特に大きなナンバーの後は歓声が上がることもありました。
観客が作品に積極的に参加しているような雰囲気があります。とはいえ、映画館のように騒がしいわけではありません。盛り上がるところではしっかり盛り上がり、静かな場面ではしっかり集中する。そのメリハリがとても印象的でした。
スタンディングオベーションをしない人の方が少ない
終演後に最も驚いたのは、スタンディングオベーションの多さでした。日本でもスタンディングオベーションが起こることはありますが、特別な公演や千秋楽などに限られることが多い印象があります。
しかし今回は違いました。カーテンコールが始まると、次々に観客が立ち上がります。気付けば劇場のほとんどの人が立って拍手を送っていました。むしろ座ったままの人を探す方が難しいくらいです。
もちろん作品自体が素晴らしかったこともありますが、良い公演には惜しみなく拍手を送るというアメリカの観劇文化も感じました。初めて経験すると少し驚きますが、その場の一体感はとても心地よいものでした。
終演後は意外とあっさり帰る
そして興味深かったのは、その直後です。あれだけ盛大なスタンディングオベーションが続いていたにもかかわらず、カーテンコールが終わると観客は比較的あっさりと帰路についていきます。
日本では劇場の外で感想を語り合ったり、余韻に浸ったりする光景をよく見かけますが、今回はそうした人はあまり多くありませんでした。最大限の拍手を送る一方で、終演後はさっと帰る。アメリカ人はオンオフの切り替えが早いというイメージがありますが、観劇の場でもそれを感じました。
ピッツバーグでも十分にブロードウェイを楽しめる
ブロードウェイというとニューヨークのイメージが強いですが、全米ツアーのおかげでピッツバーグでも本格的な作品を楽しむことができます。実際に観劇してみると、豪華な舞台演出、高い歌唱力、アメリカらしい観客の反応、日本との文化の違い、思わぬマイクトラブルなど、作品そのもの以外にも多くの発見がありました。
特に海外生活中は、現地の文化に触れられる体験が何より貴重です。もしピッツバーグにお住まいの方や滞在予定の方でミュージカルが好きなら、ぜひ一度公演スケジュール をチェックしてみてください。ニューヨークまで行かなくても、本格的なブロードウェイ作品を楽しめるかもしれません。
私自身、次はどの作品を観ようか、すでに考え始めています。



