スーパーで牛乳や卵を買うとき、パッケージの日付表示が気になり始めました。日本なら「賞味期限」か「消費期限」の二択のはずなのに、アメリカでは「Best by」「Use by」「Sell by」と表現がいくつもあります。どれが何を意味しているのか、調べてみました。

3つの表示、それぞれの意味

Best by(またはBest if Used by・Best before)は、品質がベストな状態を保てる期限です。日本の賞味期限に最も近い感覚で、この日付を過ぎても食べること自体に問題があるわけではありません。缶詰・パスタ・スナック菓子など、比較的日持ちする食品に多く見られます。

Use by は、製造者が品質の観点から推奨する使用期限です。「この日までに使ってください」という意味ですが、乳幼児用粉ミルクを除いて、連邦法上は安全期限を示すものではありません。ただし肉や乳製品など傷みやすい食品に使われることが多いため、できるだけこの日付を目安にするのが無難です。

Sell by は消費者向けではなくお店向けの日付です。「この日までに販売してください」という在庫管理のための表示で、食べても安全かどうかとは直接関係がありません。牛乳や卵のパッケージによく見られますが、Sell byを過ぎていても正しく保存されていれば食べられることがほとんどです。

いつまで食べていいのか

アメリカでは乳幼児用粉ミルクを除いて、食品の期限表示を連邦法で義務付けていません。つまり、「この日を過ぎたら食べてはいけない」を法律上意味する表示は基本的に存在せず、最終的な判断は消費者に委ねられています。

Sell byについては特に「いつまで食べていいか」という明確な答えはなく、食品の種類と保存状態によります。USDAは肉類であればSell byから1〜2日以内を目安としていますが、正しく冷蔵保存されていることが前提です。いずれの表示についても、日付だけでなく見た目やにおいで判断することが基本です。

州や郡によって規制が異なる

連邦法では期限表示の義務がない一方で、州ごとに独自の規制が存在します。ペンシルベニア州では、牛乳のSell byは殺菌日から17日以内と定められています。これは州法による規制で、スーパーの牛乳パッケージに書かれているSell byの日付は、この17日のルールのもとで設定されています。

さらにピッツバーグが属するAllegheny郡では、低酸素包装の冷蔵食品(デリカウンターで加工されたものなど)にUse byの表示を義務付けており、その日付は加工から14日を超えてはならないと定められています。

表示が統一されていない理由

表示の種類が多くて混乱しやすいのは、メーカーが自主的に表現を決めているためです。「Best by」「Better if Used by」「Fresh by」「Enjoy by」など、業界全体で10種類以上の表現が存在すると言われています。

消費者が混乱して、まだ食べられる食品を期限切れと思って捨ててしまうケースが問題視されており、食品業界団体はラベルを「Best if Used by」と「Use by」の2種類に統一する方向で動いています。カリフォルニア州では2026年7月から「Sell by」表示を禁止して「Best if Used by」か「Use by」に統一することを義務付ける法律が施行されます。

日本の表示との違い

日本の「賞味期限」と「消費期限」は法律で定義が明確です。賞味期限は品質が保たれる期限、消費期限は安全に食べられる期限で、それぞれ科学的な根拠に基づいて設定されています。

アメリカの期限表示は安全性よりも品質や風味を基準にしているものがほとんどで、判断の根拠が「法律」ではなく「メーカーの推奨」と「消費者の自己判断」になっています。日本の感覚でアメリカの食品の期限を読むと、必要以上に早く捨ててしまうこともあれば、逆にSell byをただの管理用表示と知らずに過信してしまうこともあります。

連邦法で統一されていないため、住む州や郡によって手元の食品に書かれた日付の意味が少し変わる——そう思うと、パッケージの小さな数字が少し違って見えてきます。

参考