知り合いに食品アレルギーのある人がいて、一緒に買い物をしたときにパッケージの裏を念入りに確認しているのを見ました。見ていたのは成分表の下にある「Contains: milk, wheat, soy」のような一行。アメリカではこの表示が法律で義務付けられています。

自分にはアレルギーがないので普段は気にしない場所ですが、調べてみると日本とアメリカでルールがかなり違っていて、その違いが面白い。

アメリカの9大アレルゲン

アメリカでは、FDAが定めた9種類のアレルゲン(通称「Big 9」)を含む食品は、パッケージにその旨を明記しなければなりません。

#アレルゲン英語表記
1牛乳Milk
2Eggs
3Fish
4甲殻類Crustacean shellfish
5木の実Tree nuts
6落花生Peanuts
7小麦Wheat
8大豆Soybeans
9ごまSesame

最初の8つは2004年のFALCPA(Food Allergen Labeling and Consumer Protection Act)で定められ、9つ目のごま(sesame)は2021年のFASTER法で追加されて2023年1月1日から義務化されました。

表示方法は2種類あります。成分表の中でアレルゲン名を括弧書きする方法(例:「lecithin (soy)」)と、成分表のすぐ後に「Contains:」で始まるまとめ表示を置く方法です。多くの製品は後者の「Contains:」方式を採用していて、成分表を一つ一つ読まなくても、この一行を確認すればアレルゲンの有無がわかるようになっています。

日本の表示義務と比べると顔ぶれが違う

日本にも食品表示法に基づくアレルゲン表示があります。表示が義務付けられている「特定原材料」は8品目です。

#日本(義務)アメリカ(義務)
1えび○ 甲殻類に含まれる
2かに○ 甲殻類に含まれる
3くるみ○ 木の実に含まれる
4小麦
5そば✕ 義務なし
6
7
8落花生

重なっているものが多いですが、決定的な違いが2つあります。

そばは日本だけ。 日本では特定原材料に入っているそば(buckwheat)は、アメリカでは表示義務がありません。そばアレルギーは日本では重篤なアナフィラキシーを起こす代表的なアレルゲンですが、アメリカではそば粉を日常的に食べる人が少なく、アレルギーの発症件数も少ないため、規制対象になっていません。

ごまはアメリカだけ。 逆にアメリカで2023年に追加されたごま(sesame)は、日本では義務ではなく「表示が推奨される」20品目の一つにとどまっています。アメリカでは中東料理やアジア料理の普及でごまの消費量が増え、アレルギーの報告が急増したことが義務化の背景です。

つまり表示義務のリストは「その国で何が広く食べられていて、何がアレルギーを多く引き起こしているか」を反映している。食文化が違えばリストも変わるということです。

「May contain」は義務ではない

パッケージでよく見かける「May contain traces of peanuts」(ピーナッツの痕跡が含まれる可能性があります)という表示は、実は法的な義務ではありません。

これは製造ラインを他のアレルゲン含有製品と共有している場合に、企業が自主的に記載する注意書き(precautionary allergen labeling)です。FDAはこの表示に関する基準を定めておらず、書き方も「May contain」「Produced in a facility that also processes…」「Made on shared equipment with…」とまちまちです。

義務なのは「Contains:」の表示だけ。「May contain」は企業の判断に任されていて、書かれていないからといって交差汚染のリスクがゼロとは限りません。アレルギーのある人にとっては、この「義務の表示」と「任意の表示」の境界を知っておくことが重要です。

日本にも「同一ラインで○○を含む製品を製造しています」という注意書きがありますが、これも同じく任意です。

レストランには連邦の表示義務がない——PAでは法案が動いている

パッケージ食品にはFDAの表示義務がありますが、レストランのメニューにアレルゲンを表示する連邦法は存在しません。州レベルでもマサチューセッツ州など一部の州がメニューへの注意書きを義務付けているだけで、多くの州ではレストランのアレルゲン表示は任意です。

ペンシルベニア州にも現時点ではレストランへの表示義務はありません。しかし2025年、Allegheny County選出のVenkat議員(救急医でもある)とMihalek議員がHouse Bill 77を提出し、PA下院を通過しました。レストランのメニューにアレルゲンの注意書きを載せ、従業員向けのアレルギー啓発ポスターを掲示し、食品アレルギー安全研修を義務付ける内容です。

Venkat議員は「食品アレルギーによる救急搬送の約半数がレストランでの暴露が原因」と述べています。州ごとにルールが違う アメリカでは、この法案が成立するかどうかもPAの判断に委ねられています。

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参考

制度・料金は2026年8月時点で確認しています。変更に気づかれた場合は お問い合わせよりお知らせください。