ピッツバーグのスーパーで$9.99の商品を買うと、レジでは$10.69を請求されます。差額の約70セントがセールタックス(消費税に相当)です。日本では消費税が値札に含まれているのが一般的ですが、アメリカでは含まれておらずレジで加算されます。そして税率は州によって異なります。同じ商品でも、買う州が違えば税率が違う——これが最初は斬新に感じられました。

なぜ州によって税率が違うのか

アメリカは連邦制の国で、税制の多くを各州が独自に決める権限を持っています。セールタックスは連邦政府が定める税ではなく、州が独自に設定する税です。そのため50州それぞれが異なる税率を設定しており、州内でさらに郡や市が独自の上乗せ税を課すこともできます。

州の税収をどこから得るかという設計も州によって異なります。セールタックスを高く設定する州もあれば、所得税を中心にする州もあります。税制の組み合わせで財政を賄う方法が違うため、税率に差が生まれます。

税率ゼロの州もある

セールタックスが全くない州が5つあります。Alaska・Delaware・Montana・New Hampshire・Oregonです。これらの州は所得税などで財源を確保しているため、消費税を必要としていません。

一方で税率が高い州もあり、ルイジアナ州やテネシー州は州税と地方税を合わせると9.5%を超えることがあります。全米の平均は州税+地方税で概ね6〜7%程度です。

ペンシルベニア州の税率と特徴

ペンシルベニア州の州セールタックスは 6% です(2026年現在)。ピッツバーグが属するAllegheny郡では郡税1%が加算されるため、ピッツバーグでの税率は 7% になります。フィラデルフィアでは郡税2%が加算されて8%です。

ペンシルベニア州では衣料品と食料品(未調理食品)がセールタックス免税です。洋服・靴・コートなどの衣料品と、スーパーでの食料品には税金がかかりません。一方で電化製品・家具・外食・加工済み食品(レストランのテイクアウトなど)には課税されます。

ネットショッピングの税率はどう決まるのか

オンラインショッピングでの税率の決まり方は、州によって2種類の方式があります。

Origin-based(販売者所在地基準) は、販売者がいる州の税率を適用する方式です。テキサス・オハイオ・バージニアなどがこの方式を採用しています。

Destination-based(届け先基準) は、購入者の住所(配送先)の税率を適用する方式で、カリフォルニア・ニューヨーク・フロリダなど多くの州がこちらを採用しています。この場合、同じ店から同じ商品を買っても、届け先の住所によって税率が変わります。ペンシルベニア州もDestination-basedを採用しているため、ピッツバーグの住所に配送された場合は7%が適用されます。

2018年の最高裁判決(South Dakota v. Wayfair)以降、州をまたいだオンライン販売でも、年間販売額や取引件数が一定の基準を超えれば販売者は税金を徴収する義務が生じるようになりました。以前は「その州に実店舗がなければ課税されない」というケースが多かったですが、現在はほぼすべての大手通販サイトが届け先の州の税率を適用しています。

非課税州の住所を使った転送サービス

オレゴン州のようなセールタックスゼロの州の住所を使って購入し、そこから自分の住所に転送するサービスがあります。オレゴンに倉庫を持つ転送業者の住所を購入先として登録することで、税金がかからない状態で購入できるという仕組みです。

これは現状合法とされていますが、居住州によっては「Use Tax(使用税)」という制度があり、他州で非課税で購入した物品を持ち込んだ場合に申告・納税義務が生じることがあります。ワシントン州など、オレゴン州と隣接する州ではこのルールが特に厳しいとされています。

アメリカの税制の多様性は、州の自治権という連邦制の仕組みを日常の買い物の中で実感できる場面の一つです。

参考