アメリカに来てから住所を書いたり読んだりする機会が増えましたが、日本の住所ほど戸惑わなかったのは、構造が一目でわかりやすかったからだと思います。ネットで住所を入力するとき、最初の数文字を打つだけでアパートの部屋番号まで含んだ候補が出てきたときは、仕組みがしっかりしていると感じました。日本の住所は書き方が地域によって異なり、「大字」「字」「番地」など慣れていないと読みにくい表記も混在しますが、アメリカの住所は構造がシンプルで、全国で標準化されています。

住所の基本構造

アメリカの住所は以下の順番で構成されています。

[番地] [通り名]
[市], [州略称] [ZIPコード]

具体例で見ると:

123 Penn Avenue
Pittsburgh, PA 15222

番地(Street Number) が最初に来ます。日本とは逆で、小さい単位から始まります。

通り名(Street Name) が番地の後に続きます。「Penn Avenue」「Forbes Avenue」のように、通りの名前とAve・St・Blvdなどの種別がセットになっています。通り名の種別については別の記事 で詳しく解説しています。

市(City)州略称(State Abbreviation) はカンマで区切られた同じ行に入ります。

ZIPコード は州略称の後にスペースを挟んで続きます。ZIPコードの仕組みについては別記事で解説します。

アパートの場合

アパートやコンドミニアムに住んでいる場合、部屋番号が入ります。

123 Penn Avenue, Apt 456
Pittsburgh, PA 15222

または

123 Penn Avenue
Apt 456
Pittsburgh, PA 15222

「Apt」は「Apartment」の略で、他にも「Unit」「Suite」「#」などの書き方があります。重要なのはAptや部屋番号まで正確に書くことで、これが省略されると郵便物が届かないことがあります。

USPSが全米の住所を一元管理している

アメリカの住所が標準化されている背景には、USPSが全米の配達可能な住所を一元管理するデータベースを持っていることがあります。このデータベースには1億6,000万件以上の住所が登録されており、アパートの部屋番号まで含まれています。毎月更新されています。

このデータベースがネットショッピングや各種サービスへの住所登録で機能しています。住所を入力し始めると候補が自動補完で表示されるのは、このUSPSのデータベースを参照しているためです。アパートの番号まで候補として出てくるのはこの仕組みのおかげで、入力ミスを防ぐ効果があります。

日本では市区町村・丁目・番地・号の表記が地域によって異なり(「大字」「字」が入ることもある)、住所の書き方が完全には統一されていません。アメリカの住所が全国一律のフォーマットで管理されているのは、連邦制の国でありながらUSPSが住所の標準を定めているからです。

州の2文字略称が便利な理由

住所の中で「PA」「NY」「CA」のように州名が2文字で略されています。日本だと「東京都」「大阪府」と漢字で書けるので長くなりませんが、英語では「Pennsylvania」「California」「New York」と長い州名をそのまま書くと住所行が長くなります。

この2文字略称は1963年にUSPSが統一しました。ZIPコードが導入されたとき、当時の封書1行に使える文字数が23文字に限られていたため、州名を短くする必要があったのです。それ以前は「Calif.」「Miss.」など3〜5文字のバラバラな略称が使われていました。

2文字への統一は1963年10月に行われ、以来変更されたのはネブラスカ州の「NB」→「NE」の1件のみです。カナダのニューブランズウィック州(New Brunswick)と混同されるためです。

略称の中には直感的なものとそうでないものがあります。CA(California)・TX(Texas)・PA(Pennsylvania)は一目でわかりますが、LA(Louisiana、ロサンゼルスではなくルイジアナ州)・ME(Maine)・IN(Indiana)などは慣れるまで少し時間がかかります。

ネットの住所欄が「Address 1」「Address 2」に分かれている理由

アメリカのサイトで住所を登録するとき、入力欄が「Address 1」と「Address 2」に分かれていることがあります。これもアメリカの住所の標準化を反映した設計です。

Address 1には通り名・番地など主要な住所を入力します(例:123 Penn Avenue)。Address 2にはアパートの部屋番号や建物内の追加情報を入力します(例:Apt 456)。2行に分けることで、住所の主要部分と補足情報を明確に区別できます。

この分け方はUSPSの住所フォーマットに基づいており、データベースとの照合もこの構造を前提にしています。住所を入力するとUSPSのデータベースと照合され、存在しない住所を入力した場合はエラーや警告が出ることがあります。入力ミスに気づきやすいのはこの仕組みのおかげです。Address 2を空欄のまま送信すると、部屋番号が届け先として認識されず郵便物が届かないことがあります。

日本との書き方の比較

日本の住所を英語で書く場合、アメリカとは逆の順番になります。

日本式(大→小)アメリカ式(小→大)
東京都港区赤坂1-2-31-2-3 Akasaka, Minato-ku, Tokyo
都道府県が最初番地が最初
大きい単位から小さい単位から

日本の住所を英語で書くとき、日本式(大→小)のまま英語にするか、アメリカ式(小→大)に変えるかは場面によって異なります。国際郵便で日本国内に送る場合は日本式のままでも届きますが、アメリカの住所フォームに入力する場合はアメリカ式に合わせる方が混乱が少なくなります。

住所の構造を知っていると、Googleマップで場所を調べるときも、ネットショッピングで宛先を入力するときも、少し迷わなくなります。アメリカの住所がこれほど標準化されているのは、USPSが1963年のZIPコード導入以来、住所の仕組みをシステムとして整えてきたからです。

参考