アメリカに来てから、祝日の把握に戸惑いました。カレンダーに祝日として載っているのに夫の会社は普通に出勤だったり、逆に特に意識していなかった日に銀行が閉まっていたり。日本では祝日は全国一律の休みという感覚がありますが、アメリカは仕組みが違います。

連邦祝日と州祝日の2種類がある

アメリカの祝日は大きく2種類に分かれます。

連邦祝日(Federal Holidays) は連邦政府が定めた全米共通の祝日で、現在11日あります。銀行・郵便局・政府機関が閉まる日として機能しています。ただし民間企業には休業の義務がなく、小売業や飲食業は連邦祝日でも通常営業することが多い。「銀行は閉まっているがスーパーは開いている」という状況が普通に起きます。

州祝日(State Holidays) は各州が独自に定める祝日です。州政府機関や公立学校が休みになりますが、民間企業には適用されないことが多い。州によって内容がまったく異なり、隣の州では祝日でも自分の州では通常通り、ということが頻繁に起こります。

連邦祝日11日の一覧

以下が2026年現在の連邦祝日です。表の後でいくつかの祝日について背景を補足します。

日付名称由来
1月1日元日(New Year’s Day)新年
1月第3月曜日キング牧師記念日(MLK Day)公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キングを記念
2月第3月曜日大統領の日(Presidents’ Day)元はワシントン誕生日。現在は歴代大統領を称える日
5月最終月曜日メモリアルデー(Memorial Day)戦没者追悼記念日。南北戦争後に起源を持つ
6月19日ジューンティーンス(Juneteenth)1865年の奴隷解放を記念。2021年に連邦祝日に制定
7月4日独立記念日(Independence Day)1776年の独立宣言採択を記念
9月第1月曜日レイバーデー(Labor Day)労働者の日。1894年に連邦祝日に指定
10月第2月曜日コロンブスデー(Columbus Day)コロンブスのアメリカ大陸到達を記念。議論のある祝日
11月11日ベテランズデー(Veterans Day)退役軍人の日。第一次世界大戦終結の日に由来
11月第4木曜日感謝祭(Thanksgiving Day)17世紀の収穫祭に由来。家族が集まる最大の祝日の一つ
12月25日クリスマス(Christmas Day)キリスト教の祝日。宗教に関わらず広く祝われる

一覧を見ると、月曜日に設定された祝日が多いことに気づきます。

月曜日に固定された祝日が多い理由

連邦祝日のうちいくつかは、もともと特定の日付だったものが「第〇月曜日」に変更されています。1968年に制定された「統一月曜祝日法」によるもので、3連休を作ることで経済効果と労働者の休暇を両立する目的がありました。大統領の日・メモリアルデー・レイバーデー・コロンブスデーがその対象です。

議論のある祝日:コロンブスデー

コロンブスデーは連邦祝日ですが、扱いが州によって大きく異なります。コロンブスのアメリカ大陸到達が先住民族への迫害の始まりだったという歴史的経緯から、コロンブスデーの代わりに「先住民の日(Indigenous Peoples’ Day)」として祝う州が増えています。株式市場や多くの民間企業は通常営業のため、実質的に機能していない連邦祝日とも言われます。

最も新しい連邦祝日:ジューンティーンス

2021年に連邦祝日に制定されたジューンティーンスは、June(6月)とnineteenth(19日)を合成した言葉です。1865年6月19日、テキサス州で奴隷解放が最後に公式に伝えられた日を記念しています。奴隷解放宣言は1863年に出されていましたが、テキサス州にその知らせが届いたのが2年後のこの日でした。アメリカにとって40年ぶりの新しい連邦祝日の制定でした。

ペンシルベニア州の場合

ペンシルベニア州は連邦祝日11日をそのまま州の閉庁日として採用しています。独自の追加祝日は少ないですが、Indigenous Peoples’ Dayを州政府機関の閉庁日として認めています。

また、6月14日の「フラッグデー(Flag Day)」はペンシルベニア州で特別な意味を持ちます。最初のアメリカ国旗をフィラデルフィアで縫ったとされるベッツィ・ロスにちなむ日で、連邦祝日ではありませんが州内の多くの機関が特別に扱います。

民間企業の休業日は会社によって異なり、連邦祝日をすべて休みにする企業もあれば、一部のみを適用する企業もあります。夫の会社が休みかどうかは、連邦祝日かどうかだけでなく、その会社の方針次第という面が大きいです。

日本との違い

日本には年間16日の祝日があり、全国一律で機能します。アメリカの連邦祝日は11日で少なめですが、その分「有給休暇(PTO)」を活用して休むのが一般的な文化です。

日本の祝日は「海の日」「山の日」など自然に感謝する日が多いのに対し、アメリカの祝日は歴代大統領・公民権運動・戦没者・労働者など「人や権利」を称える日が中心です。

祝日の一覧を眺めると、その国が何を大切にしてきたかが見えてくる気がします。コロンブスデーをめぐる議論や、ジューンティーンスの制定にも、今のアメリカが何と向き合っているかが反映されています。

参考